寒々とした春に

4月1日の今日は、私の新たな出発の日。

いやいや、また、気負ってしまったなと一人で苦笑してしまう。

今さら、出発も何もない。

ただ、色々な意味で一つの区切りをしたということだ。

4月1日の今日、私が自宅にいることなど、ここ10年近くなかった。

私は、ただひたすら仕事を得るために、たくさんのことに妥協して、

すぐ隣りの人と、同じような行動をとり、生きてきたように思う。

仮に、ある時、仕事に就くことができても、

いつ仕事を切られるかもしれない、

そうなれば、次の仕事が見つからないかもしれないなどと、

心を落ち着かせることができなかった。

 

私は仕事の上で、常に不安定な「身分」だった。

そんな私が、臨時教員の職を得たのが2010年10月だった。

あの時から懸命に働いて、臨時教員の道を歩きながら、

次年度、また次年度と、

さらに仕事を続けたいという自分の希望を書面で提出しながら

かろうじてそれが叶えられてきた。

さて、私にとって、4月1日とは、常に新年度の第一日目だった。

ふり返れば毎年この日、私はこの先一年間、

自分が職を得られたことに安堵しながら、

少なくとも、これから一年間は「給料」がもらえ、

それで家族が生きていくことができると、

どれほど、ほっとした思いを、味わってきたことだろう。