4月半ば

歩き出した。生きている限り歩き続けている私。

高校で非常勤をやり始めて、今日で三日目。

若い頃のように、心底、何かを訴えることができるとは思えないけれど、

目の前の高校生の、人としてのひた向きさに、勝手に感動してしまい、

声に抑揚をつけ、発して言葉が、相手の心に確実に届くようにと

力を込めて話し続ける。

この国も、世界も、どうしようもなく劣化していく。

だから、若者に語る言葉を一つ一つ丁寧に選んで、

ゆっくり授業をする。

人が理不尽に殺され続けていても、どうすることもできない。

ただ、「殺すな」と心の中で呟き続け、

その言葉の上に、また今日の授業を展開する。

昼ご飯を食べて、午後からの授業だ。

パレスチナでは、意図的に食糧支援が妨害され、

多くの人々が飢餓にさらされているというのに、

私は、温かいうどんを食べていく。