3月が終わる

昨日、一年間勤めた県立高校での非常勤講師の

最後の最後のセレモニー「退任式」が終了した。

場所は、その学校の体育館。どこの学校でもやるはずの

ほとんど同じ形式で、壇上に十数人の退任者が並び、

一人一人が紹介され、そして、最後に一人一人が

自分の思いを述べる。

こういう形式は、どこでもあるはずの図そのものだ。

学校では、恐ろしいほどに形式が尊ばれる。

というか、形式を踏襲するということ抜きに、

何一つも生み出せないのが学校だ。

まあ、それはいいとして、私も一番最後に喋ってしまった。

パスカルの「考える葦」についてだ。

担当していた三つのクラスの最後の授業で

「考える葦」の冒頭部分を板書して、

その話をしていたので、そこに付け加えたという格好になった。

かなり過激なお喋りだった。

「考えて下さい」と、「自分の頭で考えてください」といった後で、

二つの道があって、大勢の人が一つの道になだれ込んでも、

自分でしっかりと考えて、誰も行こうとしない道に

向かおうと思ったら、そう行動してください。

私も、偉そうなことを言っていますが、それができているとは言えません。

でも、そうありたいと若い頃から、そして今でもそう思っていますと

「演説」してしまったのだ。

もちろん、私を知らない「退任式」参加者には、

担当したクラスの生徒以外にもいたので、

なぜ私がこのようなことを話しているのか

分かりやすく解説する配慮を怠りはしなかった。

まあ、そういうわけで、ほとんど一切の遠慮もなく、

言いたいことをキッチリと言いきれた一日ということになる。

思わず苦笑してしまうが、自分が最も自分らしく生きられた

勤務した一年間の最初で最後の日だったなと思う。

パスカルの「パンセ」を通して、工業高校の生徒に私は喋りかけたなと思う。