寒さは、心を萎えさせます・・・

 一人部屋で、本を読んでいたけれども、

 寒くて寒くて、手先が氷のようになってしまいました。

 それを見かねて、連れ合いが火鉢に炭をおこしてくれました。

 その火が、真っ赤に燃えています。

 それに手をかざしながら、更級日記を読み終えました。

 いえいえ、原文ではなく、現代語訳でですが、

 小学館版の古典文学全集の、なかなかの名訳で、面白かったのです。

 思えば平安の頃の人は、厳しい寒さの中で生きていたのだろうなと

 折よくそんなことを思ってしまいました。

 菅原孝標のむすめが、書いたというその作品。

 最後まで読んでみると、一人の女性の一生として、

 共感を覚えるところが、いくつかありました。
 
 とても正直な筆の運びで、それをコツコツと、

 書き続けてくれたことに、なんとも感謝の念が湧いてきました。

 ことさら、何かを成したということではなく、

 その生きざまを綴っていったこと、生き続けてくれたことに

 大きな意味があるのだと、あらためて確信したのでした。