南の島通信 13

 一日中、家の片づけをしていた。

 ともかく、片づける。

 家の中の「謎」の部分をひっくり返して、中身を点検。

 それから要るものと、要らないものとに分けていった。

 ゴミ処理場に持っていくものを、一部屋に集めていく。

 古い本も、次々にゴミになっていく。

 雑誌も然り、ありとあらゆるものが、永い年月、そのままの状態で

 ただただ、部屋の奥深く、置かれていたということだ。

 ただし、そればかりではもちろんない。

 古い古いノートには、若かりし頃の力強い筆で

 熱い思いを記していた私がいた。

 実際、どう生きてきたのかということだ。

 そして、これからどうやって生きていくのかということなのだ。

 死ぬまで働かなくてはならないのは当然のことだ。

 でも、残された人生を、どうやってやるか。

 悲壮感などないが、もう少し自分らしい生き方を考え抜こう。

 ただし、でたらめな国家権力の元で生きているということについては

 もちろん、落ち着いてなどいられるはずもないが・・・。

 裏の畑で、連れ合いと二人で人生について語らいながら

 春菊の花の可愛らしさに感動してしまった。

 その中から、パチンと連れ合いが切ってくれたのを花瓶にさした。