窓の外は曇り・・・

 「希望」を持たなくては、若者たちに何も語れない。

 彼らが生きていく未来が、暴力で満ち満ちていれば

 彼らはどうやって生きていけばいいのか。

 その答えが、私にはないから、一人になると、悲しみに襲われる。

 戦争が起こるかもしれないと思っている。

 アジアで、今自分たちが生きている日本の近くで、戦争が起きたら、

 この国は、崩壊していくだろう。

 その危機感を持っている人々は、そんなには多くはないはずだ。

 戦争を煽り立て、軍需産業の金蔵をいっぱいにさせようとする権力者を

 野放しにしたまま、どんどん日本の崩壊は進んでいき、

 どうなってしまうのかと、自国の運命にさえ見通しがつかないまま

 私は老年になってしまった。

 さて、今日も仕事だ。明るい若者の笑い声に励まされて、夜間高校の

 灯りの下で、一緒に勉強をする。

 世界中で殺されていく数限りない人々に対して、

 何もできなかった私が、今度は崩壊の真っただ中にいて、

 その恐ろしい現実に、慄くことになるのかもしれない。

 陽がうっすらとさしてきた。つつじの花がきれいだ。