秋、深まる・・・

 どこからか、じーっと耳鳴りのように響いてくる虫の声。

 網戸にしておくと、猫たちがそこに寄って

 外を見つめている。

 秋の気配だ。秋の空気が覆っている。

 でも時代は、とんでもなくむき出しの状況を、露わにしている。

 国家権力の傲慢不遜な態度が、この国の方向を決定して

 私たちはその傘下に、否応なく置かれてしまい、

 この状況は、いずれ激震となって、私たちを襲ってくるに違いない。

 あまりにも愚かな男が、この国を握っている。

 そんな事態を、悲しみと怒りの中で受け止めながら、

 今日もまた、仕事に行く日常。

 いや、すでにそんな日常さえ、破壊された人々は大勢いる。

 何ができるのだと、ずっと思い続けてきた。

 九州の片田舎で、灯り一つない夜を迎える日々の中で

 国会へ駆けつける術も状況もないまま、悔しい思いを噛み締めてきた。

 思えば「自民党」に投票する田舎のおじさんやおばさん、

 おじいさんやおばあさんたちの中で暮らして、もう20年が過ぎた。

 自分たちが、数えきれないほどに犠牲を強いられてきたにも関わらず

 「自民党」をよりどころとして、政治を体感してきた人々。

 もう、これ以上は、日常のこれまでのような維持はできないと思う。

 言語化と発信、現政権への「否」という意思表示を、ささやかにでも

 持続させること。国家権力とその取り巻きに連なってしまう自分から

 「否」と発信して、断ち切っていくこと。

 さあ、私は仕事に行く。

 小さな体に、担いきれないほどの重荷を負って

 生きてきた若者たちのいる場所へ出かけていく。