だから、体を固くしている。寒くて、寒くて、早く、春が来てほしい。
希望とか、夢とか、いろいろ心に描いて、65年間を生きてきたけれど、
でも、やっぱり現実に即して、なんとか、なんとか、やってきた人生。
つい、この間、いよいよ高齢者になって、もう、あとはこの地上から
去っていく日までを、一日、一日、数えて誠実に生きていこうと思う。
特別、後ろ向きのことをいってるわけじゃなく、人間の命などというものが
そういうことだということは、わかり切っているもの。
二人の子どもたちも、いい感じに大人になって、なんとかやっていけるはず。
思えば、こういう感覚は、若いころからずっとあった。
命の危うさと向き合える想像力みたいなものが、私の中には豊かにある。
もう、それほど遠くない時期に、私が去っていくということは
自然なことで、寂しいことなんかじゃない。
こうやって口にすることで、私が愛している人たちへの
なおいっそうの愛を、私は確認している。
私には、素敵すぎる家族がいて、その家族と一緒に生きていることの
幸福を今も、これからも感じ続けることを疑わない。
さあ、たまにはこういうことを、きちんと言葉にして、
やっぱり私は、やがて来るはずの春を待っているのだ。