春は、いや、気付けば春になったが、私の心が震えている。
心が震えると、涙が、じわっと目の中を潤すように、にじみ出てくる。
何を泣いているのか。
危なっかしい命を、かろうじて守って、生きていこうとするものたちを思うからだ。
自分だって、そのものたちと同じこと。
だから、命の火を消さないようにして生きているものたちに
共感して泣いてしまうのだ。
こういう感性のまま、ずいぶん永い時間を生きてきたなと思う。
こういう感性のまま、人を愛し、人と出会い続ける仕事をしてきたなと思う。
そうして、こういう感性のまま、生きていこうと、
一緒に人生を歩いてくれた人が、今も傍らにいて、
命の裏側には、いつだって死が張り付くように存在してることを
体の奥の奥の方で、きっと承知しているはずの家族がいる。