未練などない・・・

 こんな国に、未練などない。

 そんなふうに言い放ってしまえるほど、自分の中に確たるものがあるのか。

 ある・・・・。

 そんな思いの根底には、どの人も、人間らしく生きさせろと、それが本来だろうと、

 ずっと、若いころから、日本という国の、理不尽さを感じ続けながら、そう思い続けてきた私の歴史があるからだ。

 国家なんて、そんなものだろうと思い、自分さえよければいいという生き方も確かにある。

 でもそれは、きっと、ギリギリのところで、魂が疼いて耐えられなくなるに違いない。

 自分のことだけを思って生きるという道と、そうはいかないと思って歩く道と、

 何が、分かれ目になるのだろう。