庶民の暮らし・・・

 底冷えがする。こうして座ってパソコンをうっていても、正座している膝の辺りが ひんやりと冷たい。

 その冷たさはじわじわとのぼってきて、手先を冷やし、首筋を冷やしていく。
 

 斜め後ろには、たった一つの暖房機器として石油ストーブがあって、

 その前には猫のために子ども用の毛布が四つ折りになって置かれている。

 猫も人間も一塊になって寒さを凌いで暮らしている毎日だ。 
 
 

 冬の曇った日など休日の昼間だって日当りは悪い。寒さに負けるのも癪なので、いろんな工夫をして自分を元気づける。

 相変わらず家族は各々ジャンパーを着てあっちへ行ったりこっちへ行ったりと動きまわっている。
 
 さて、そうはいっても、こうして暮らすからこそ庶民は強い。

 もっともっと大変な状況を生き抜いている人々へ想像力を働かせ、共感の思いを新たにしている。

 他者がしんどいのに、自分だけぬくぬくと楽をする人生は歩けない。

 いつの頃からか、そういう思いが自分のものになっていった。
 
 これによって私は人間であることを再確認し、そこから人間を侵す者への怒りを点火させる。

 寒さは私にとって良いものを与えてくれているのだ。