求職活動は不合格

3月末で、一年間の非常勤講師の仕事が終わったので、

これからの仕事を探さなくてはなりません。

それで今日、手始めにすこし「ドキ、ドキ」しながら、

ハローワークの門をくぐりました。

私の年齢は67歳。

果たして仕事はあるのかしら、自信など全くありませんでした。

それでも、「エイヤッ」と勇気をふりしぼって、

総合案内の女性に、私が仕事を求めてやって来たことを伝えました。

それから、その同じ人に指示されるまま、

眼鏡をかけた、いかにも優しそうな若い男性の職員が

座っているところに行って対坐しました。

こんな時いつも私は、とても正直に語り始めてしまいます。

まずは、仕事を探しているのだけれど、

永く高校生に勉強を教えてきて、それ以外にできることが

果たしてあるだろうか、そんな不安を持っていますと、

こんな風に話を始めてしまったのです。

それでも、相手をしてくれた職員の男性は、

私の不安な心に配慮しながら、私から希望職種を聞き出し、

カタカタカタと微かな音をさせながら

目の前のパソコンのキーボードを叩いて

三枚の紙を打ち出してくれました。

三枚とも、保育園の学童保育の指導員という仕事でした。

私が教師だったから、少しでも馴染みのある職種として

それらを選んでくれたのです。

そのうちの、ある保育園の求人の詳細記事を読んで、

ふっと、まず見学させてもらうことができないかと思いました。

そこで、面接の前に見学することはできるかどうか尋ねてみると、

担当してくれている眼鏡の職員は、

目の前で、すぐにその保育園に電話で、問い合わせをしてくれたのです。

その結果、今日、見学できるという回答がもらえました。

目的の保育園はハローワークから、

車で40分くらいのところにあります。

相手の保育園の園長先生との約束時間に

遅れることはできないと思い、

そのままハローワークを出て、ゆっくり走って目的地に向かいました。

目的地に着いたのは、午後4時20分、約束より10分も早く到着です。

さてその後は、予定通り、園長先生に会うことができ、別の職員の方に

園内を案内してもらいました。

広々とした明るい部屋で、小学校一年生の女の子と、

小学校四年生だという男の子が

レゴブロックで遊んでいる姿に出会って、

三人で、笑いながらいろんな話をしました。

ともかく今日は、保育園内にある学童保育室の様子を

見せてもらうことが目的でしたから、それはそれで楽しかったのです。

ところが、最終的に園長先生とお話しする中で、

この保育園内学童保育室への就職は、

どう考えても「不合格」、つまり私を受け入れてもらえる見通しが

ほとんどないことが分かったのです。

園長先生は、私にいくつものことを話されました。

中でも、放課後の宿題を見てあげることばかりが、仕事ではなく、

「春休みなどは、子どもたちを外に連れ出して、

何時間も一緒に歩くのです。」

「子ども達に対しては、ダメなことはダメと

厳しくしなくてはいけない場面などもあるのです。」

等と、「私にそれらができますか」と、

少し厳しい口調で話しかけられました。

そんな言い方をされた園長先生を見ながら、

これはもう無理だなと、諦めて退散はしてきましたが、

どうしても心残りがあったので、

椅子から立ち上がって、園長室を出ていく前に、

定時制高校の八年間も、

その後の工業高校の一年間も、

私は、黒板の前で授業しているだけの先生じゃなかったのです。

生徒たちを追いかけて、走り回っていた教師だったんです。」

・・・などと、私も少し強い調子で言ってしまいました。

そんなわけで、またあらためて仕事を探すつもりです。

子どもたちが放課後を過ごす学童保育所で

一人一人に寄り添いながら、

私の絵本の朗読を聞かせてあげたかったのに、

とても残念な結果でした。