認知症予備軍

 年齢的には、私もすでに「認知症」予備軍だ。

 いや、もうその方向に進んでいるなと思ってもいる。

 そこで物忘れや会話の乱れにぶつかったとき、私はどういう状況にあるのか、

 自分なりに分析してみる。

 たいていは心の平安を崩しているとき。

 忙しかったり、なれないことに翻弄されたりしているときに多い。

 そうだ、「なれない」とは「慣れない」ということだけれど、

 私の場合は、熟練すればどうにかなるという問題ではなく、慣れないその種のことに、

 自分の思考回路が、そもそも働かないということだ。

 これはもう、私が私である以上、どうしようもないことで、どうにかしようという気もない。

 まさしくこれが、「個性」ということだろう。思えば私は、自分以外の人については、

 今自分をふり返っているようなことと同じように考えることができた。

 でも、人は私をそう思ってはくれない。それが悲しくなるほど、今私は、すっかりまいってしまっている。