手取り14万で・・・

 一人で4,50人の老人を引き受けて夜勤をする。

 一日12時間労働も珍しくはない。

 そうやって、老人介護の仕事が、やがて一年半を過ぎる。

 33歳の息子の日々、仕事を持つとはそういうことか。

 田舎には、若者を育てるものが少なすぎる。

 だから、若者は次々に出ていってしまうのに、

 だから、過疎は不可避なことだというのに、

 その意味が分かっていないのだ。

 相変わらず、中央集権的な構造のまま、文化総体もまた、

 中央へ中央へと、吸収されていく。

 田舎には、老人たちが山のようにいる。

 いやもう、それが運命なのだから、仕方のないこと。

 そんな老人たちを見守る仕事は、人手不足で求人はいつでもある。

 だが、余りにも薄給なのだ。

 どうやって生きて行けというのだろう。

 田舎の若者の現実は、あまりに厳しい。

 明日、午後3時から、息子は夜勤に出かけていく。