(南の島通信)7

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春が来ている。もう、すぐそこなどというものではなく、すでに春の中にすっぽりと包まれてしまっている感じだ。
ばたばたと日常の暮らしに追われていると、春の前触れなど、まるでなかったようにさえ思えてくる。
それが、まずいのだ。こうやって、目や耳が鈍感になり、自分の命が実感できなくなってしまうのは、そう遠いことではないのかもしれない。
それでも4月2日になった。仕事の上では新年度二日目。8日には生徒が登校してくるので、彼らを迎える準備が忙しい。
次々に書類を作り、それらを次々に提出していく仕事が、毎年この時期の仕事だ。何より重要な仕事は、一年間の教育実践の計画づくり。
臨時採用の高校の講師として6年目の春を迎え、生徒達にいったい何を伝え、どんなやりとりをしていくのかということが、最重要の課題だが、そこのところの整理が、正直、まだ、ついていない。
いやいや、なんとしてもまとめ上げ、言葉にして綴っておかなくてはならないと思っている。短い言葉で、大まかに綴るのではだめだ。自分の思いを、そのまま言葉にして、自分にも人にもわかりやすく表現する必要がある。
この年間計画の作成は、私の思想と哲学の集大成などと言ったら、大げさだと笑われるだろうか。
だが、どんなに職務上の身分が不安定でも、仮にも教育現場に身を置いているのだから、そのような気負いは当然のことだと思っている。
生徒達の魂に対して、畏敬の念を持ち続けられる自分がいる限り、この仕事に命がけで挑もうと改めて思っている。
私の思想と哲学の、日々の更新が迫られている。なんとも、満開の桜にむせながら、そんなことを思わずにはいられなかったのだ。