背中で扇風機が唸っている。なま暖かい風を、かき回しているだけなので
涼感とはいえないけれど、もちろんないよりはいいに決まっている。
家族三人、一人はもう眠っているから部屋の電気は真っ暗だ。
もう一人もエコな電球で自室を照らし、蒸し暑い宵に本でも読んでいるのかもしれない。
そして私は、一人パソコンに向かって文字を打っている。
なんとも慎ましい我が家、こんな暮らしをもうずいぶん永いことやってきた。
その上、静かなのだ。
テレビがないからだともいえるが、各自が持っているパソコンだって、音声を調節しながら注意深く使っているから、耳障りな音は全くしない。
さて、連日の猛暑で、改めて発見したのが、暗闇の効用・・・。
読書でもしない限り、部屋の電気は消すと、そう決めて実行すると
これはまた、不思議なほどに涼しい。
家の南と西の窓を全開して、真っ暗やみの中で、連れ合いと二人、ぼそぼそと語り合う。
仮に議論になったとしても、声高になる必要などは全くない。
ともかく暗闇は 心を落ち着ける。
何より、その場所でいくらしゃべっていても、議論になど決してならない。