一人 夜に想った事

(生活の詩)
どうやって死ねるかな

あと二ヵ月もすれば六十歳
夢みたいだ
何が夢かって
「老後」など どこにもないから

「老後」がない人生を歩いてきて
気づいたら
本当に年寄りになっていた
今も財布の中はカランカラン

働けなくなったらどうするの
そんなことを幾度も聞くと
相方は答えなかった
だから一緒に歩いてきた

いつも裸で
いつも剥きだしのまま
真っ直ぐに 正直に
回り道だらけの人生

無計画で無謀な人生
そう言われたら
「うん」と言おう
ただ本物を 本物をって思って生きてきただけ

そしたら本物の老人になっていた
どうやって 死ねるのかな