卒業アルバム

 

 

2012年3月の卒業アルバムの一枚の写真。それは私が県立高校の定時制に勤めていた時のものだ。職員は総勢12名、懐かしい顔が並んでいる。その中の一人に優しい微笑みを浮かべた社会科担当のS先生がいた。

 そのS先生が、今年1月1日の能登半島沖地震で被災、倒壊した自宅の下敷きになって亡くなったのだ。S先生が亡くなったことを、私が初めて知ったのは1月14日。定時制を卒業したMさんからのメールだった。10年以上前に一緒に仕事をした同僚の死に呆然としてしまった。

 S先生を知る当時の定時制高校の生徒達は私の周りにいく人もいる。早速、その一人に訃報を知らせると、「静かだけど面白いこと言ってくれる優しい先生でした。」と返信してくれたのはNさんだった。職員室で席を並べていた十年余り昔、S先生はいつも生徒の傍にいて、優しく話しかけていた。そんな姿ばかりが思い出される。