きっと私は、一生、暗中模索し続けながら
最期を迎えるのだろうと思っている。
今やそれなりに年をとって、こういう生き方を続けているのは、
結構疲れるけれど仕方がない。
頭の中が、常にまとまりを欠いているのかもしれない。
そうはいうものの、どれもこれもが中途半端だったというわけでもない。
様々な方向に注意力が向けられ、そのたびに私は、
その各々に関連する本を読んで、どれもこれも深く感動してきたのだ。
けれども、私の中でそういう生き方は、決して理想的なものとはいえなかった。
思えば、私は、一つのことをコツコツと積み重ねながら歩いていく、
「職人」のような人生に憧れていたのかもしれない。
既に私は、六十代最後の一年を生き始め、
相変わらず暗中模索を繰り返すことしかできないが、
一月ほど前から、『女性芸能の源流』という本を読み始めて、
若い頃から関心事だったことが、一本の線でつながってきたような気がしている。
これによって、まとまった長文でも書けると、あまり期待はしていないが、
観阿弥と世阿弥に代表される十四、五世紀の日本の芸能に深く感動し、
いくつもの本を読み続けてきた自分の営みを振り返ると、
やはり一つの到着点だったかなと、今は、そんなふうに思っている。
六百年も、七百年も昔、人々は踊り歌いながら、
何か大切なものを、多くの人々と共有していたのだ。