昭和天皇

 ハーバート・ビックスが書いた『昭和天皇』の上下巻を買って読んだのは、もうずいぶん前のことだ。この二冊の本は、吉田裕さんの監修で、講談社が出版していた。その少し前に、原作者が書き上げた英語版の広告が、何かに載っていて、英語などほとんど読めないにもかかわらず、どうしても、その本が欲しくなって、さっそく注文して買い求めたのだった。

 

 その翻訳版の方を読み直している。きっかけは、朝日新聞社が出版した『東京裁判』を読んていたからである。こちらも講談社刊。初版が昭和58年5月10日となっている。朝日新聞東京裁判記者団が東京裁判を取材してまとめたものだ。なおこの本の原書は昭和36年の刊行と、奥書に小さく書かれていた。東京裁判後、取材したものを懸命にまとめ上げたのだろうと想像することができる。

 

 いずれにしても古い本だが、今の日本を考える上で、「アジア太平洋戦争」と、その後の「敗戦」については、どうしても、確認しなおしておかなくてはならないと思っている。日本は、とんでもない野望を抱いて、戦争を開始したのだということに、改めて驚きを覚えながら、もうしばらく、日本の、近現代の歴史をたどっていきたい。