食卓を囲む・・・

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  ふと、あっ、これだと思った

 我が家の食卓 

 連れ合いが 家族一人ひとりの

 たった今の思いを大切にして 

 励ましてくれるために

 支えてくれるために 

 メニューを考え 作ってくれる料理の数々だ

 そんな食卓を囲んで いろんなことを語る

 それが 我が家の伝統なのだ
 
 いや それは大それた言い方で

 命ある者が互いに出会い

 そこでまた 新たな命を育もうとすれば

 どうしたって そんなふうになっていくだろう

 食卓では たくさんのことが語られる

 生きるとはどういうことかを言い

 人間にとって 何がいちばん大切なことかを言い

 感性を磨くためにこそ 勉強をしていこう

 ものを見通せる目を もっともっと輝かせ

 人を踏みにじるものに「否」といえる人になってほしいと

 そんなことばかり いいあってきた食事の時

 まさにいま この国は どんどん壊れていき

 そうした中で 我が家の子ども達が どう生きていけるのか

 楽しみではないかと ふっと気がついたのだ

 「普通」の男にも 「普通」の女にも

 特に なることなんかないし 

 ただひたむきに 誠実な命として生き抜いてくれれば十分だが

 それはできると あらためて確信したのだ

 なぜなら 彼らは小さいころから

 ずっと 我が家の食卓を囲んでいたんだ 

 そうやって大きくなっていったのだ

 これまでの時間をふりかえって

 そんなことを 思ったのだ