一日体調がすぐれなかったが、午後から持ち直し、これではだめだと外出する。
気温の低さにすっかりやられてしまっていたので、マスク、生姜、ほうじ茶、その他、そういえばあったかそうなタイツも買った。
給料日までまだ一週間以上もあるから気遣いつつ買い物をしたが、なんだか気持ちを
元気にすることがかなわなかった。
実は素敵な色のセーターがあったのだ。
ほしいなとそれほど強く思ったわけではなかったがきれいな色のセーターで、こんなのを着て過ごしたら楽しいだろうなと、そんな気持ちがふっとおこって心を離れなかった。
薄い赤色のセーターだった。
色が上品で、編み方がシンプルで、何かこう優しい風合いだった。
ただし、その下に少し薄手のセーターを着込まないと、長袖ではなかったのだ。
いや、そんなことより、本当は、そのセーターを着て、楽しそうに仕事をしている自分を心に描けなかったのだ。
それが悲しかった。
寒さに体中がひんやりとして、目が重く、鼻炎がひどくなり、髪はボサボサで、鏡をのぞくのも躊躇われて、だからこそ、元気になろうと出かけて行ったのに・・・。
そうなのだ、セーターのことより、自分自身の歩みについて、心に陰りを作ってしまったのだ。
老齢になっていく姿を見つめている自分。
折よく昨日は山田洋二の「東京家族」、今夜は小津安二郎の「東京物語」を観た。自分の終焉を見つめるような不思議な感覚を味わっていたのかもしれない。