曇天の日

天皇ナルヒトが即位した日が曇天。

実にふさわしい空の暗さ。

2019年が「平成」30年なら、

あれこれ計算して、「平成」元年は1989年ということになる。

この国は1989年から30年が経過して、

その刻み方を、1989、1990、1991、1992と、

時の経過を、一年ずつ数えていくことを許さなかった。

突如、平成1、平成2、平成3、平成4と、

天皇の代替わりがあったことを、無理無理教え込み、

そこから、一年ごとに天皇の在位年数が重なることを、

やっぱり無理無理認識しろと、私達に強いてきたのだ。

さらにそれが続いていく。

令和という新元号が決まり、それが5月1日の今日から始まるという。

いったい、何が始まって、何が終わったのだ。

痛めつけられたものや、殺されたものや、その他にも諸々

数えきれない人々が、置き去りにされたまま、

理不尽な状況が悪くなることはあっても、良くなることなどありえない。

名実ともに、この国に生きる人が主人公になる、

そういう時代を作らない限り、一片の喜びもない。

不幸にして、二度の天皇代替わりに出会い、

30年前の、あの時の抵抗運動の事、

その渦中にいて、人権が侵されていることに鋭く反応した自分を思い出した。

諦めてきたな、一つ一つ、妥協してしまったなと、涙がこぼれる。

 

それでも、娘よ。

今日はあなたの誕生日。

心からおめでとうの言葉を贈る。

41年前、あなたが産声をあげたあの日は、

労働者の祭典、メーデーの日で、

大きなおなかを抱えて、まだ分娩室に入る前の私は、

こんな日にあなたが生まれることを、誇らしく思っていた。

あの日、窓の外のメーデーの会場に向かう隊列を

見守りながら、心が高鳴っていた自分を忘れることはできない。