こういう自覚の意味は大きい。
気が付いたら、あっという間に時間が経ってしまっていたというのではなく、
ゆっくり、一日、一日、過ぎていってるということで、
その日、やろうと思っていることは
いいテンポで終えることができている。
「万年筆」の登場だ。
赤い万年筆は私の友人のように、傍らに置かれている。
今日などは、年賀状を書くのにどれほど時間がかかっただろうか。
懐かしい感触を味わいながら、高校生の頃のように、バランスの悪い、不格好な字を書いてしまった。
楷書を意識するから、そういうことになるのだけれど、
なんだか、形がよくない字を書いてしまったなという年賀状が何枚にもなった。
字を一字一字書くというのは、実はすごく大変な仕事なのだと思う。
そのうえ、字には、熱い思いが込められているのだからなおさらのことだ。
ほとんど同じ姿勢で半日以上も座り込んで、年賀状を書いていたから、
目は疲れて、肩は凝ってしまい、硬くなった体をほぐすのは一苦労だった。
ともかく、ゆっくり字を書くということを思い出した。
緊張して、いろいろ思いながら、それでも間違えないように丁寧に書く心地よさを、思い出したのだった。
字を書く、その字に思いを託す、その思いが人に伝わる、その思いがまっすぐに伝わりますようにと
私は心の中で祈っている。