某国の兵士に捧げる詩 その1

どこからともなく銃を構えた兵士が

子どもを狙っている

そしてまず初めに子どもを殺し

次々に子どもを殺しまくる

ただひたすら 兵士は子どもを殺すだけ

決して 狙いははずさない

 

屈強の兵士たちが 

小さな子どもを捕まえて

どこかへ連れていく

小さな子どもは 恐れおののいて

泣きそうな顔をしているけれど

それでもかまわず どこかへ連れ去っていく

 

そういえば誰かが言ってた

子どもを狙って打ち殺せば

味方の兵士の犠牲は少ないって

いったい誰が考えたのだろう

敵の子どもを殺し続けて皆殺しにしてしまえば

敵は必ず敗北し 味方はきっと勝利すると

 

父や母を殺すのは後にして

まずは子どもを狙って殺すこと

それこそ何と素晴らしい絶妙な戦略だろうと 

兵士たちは考えていた

目の前の丘も 目の前の草原も

あたり一面を 子ども達の血で

真っ赤に染め上げて 味方の勝利を勝ち取ろう

 

そうすれば 我らの国は

きっときっと勝利する

まだまだ足りないかな

我らの国が勝利するためには

子ども達の血が まだまだ必要なのかな

兵士たちは そればかりを思っていた

 

地獄の鬼でさえ舌を巻く惨たらしい景色が

目の前に広がっているというのに

それでも兵士は 空爆で死んだ敵の女が

身に着けていたネックレスを拾い上げて

自分のガールフレンドへプレゼントすると

ニコニコ笑っている

 

悲しい事だけれど そんな狂ったような君の姿を

世界中の人が見ていたよ

だからもうすぐ 君も終わりのかもしれない

なぜなら 君の心も体も 生きた屍のようだったから

 

君の体に染みついた血の匂いは

おそらくは生涯 決して取れることはないし

子どもを殺して何回も 何十回も経験した

あの日のできごとは 君の心に蘇ってくるよ