備忘録として

 昨夜『おらが春』のほんの断片を読む。

 小林一茶が書いたという。

 娘「さと」への愛しさを存分に伝えてくれる。

 江戸時代後期に成立した「句文集」。

 身の回りにあったことなどについての思いを

 日記のように記したもの。

 しかし「さと」は幼くして亡くなる。

 そののちに生まれた子どもたちも

 いく人かが 幼くしてやはり亡くなっている。

 死は あまりにも身近だった。

 そして その危機は現代よりもはっきりと見えていた。

 「医療」の進歩などという問題ではなく

 何より人々の目が 「死」をいつも意識していたはずだから

 さけられない「死」について

 向き合える賢明な人びとの数は

 今よりは ずっと多かったはずだ。