寒くなっていく・・・

 予想通り、気温が下がって寒くなってきた。

 二匹の猫はストーブの前で眠り、そのたった一台のストーブが部屋を暖める唯一の暖房機器

 連れ合いは、ここ数日若干「鬱」状態で、夕食後に眠ってしまった。

 息子は昨日は腰が痛いといってたが、今日はいつも通り仕事に行き、何とか元気そうだ。

 ストーブの上のやかんがコトコトといって湯が沸くと、湯たんぽを入れに来た息子。
 
 古い家は、気温が下がるとどこからともなく、冷気が入ってきて、

 家それ自体が、寒さにやっと耐えているのではないかと、そんなことを想ってしまう。

 貧乏人にとって寒さは、ただただ脅威になる。

 それでも、家があるのは幸いなことに決まっている。

 路上暮らしを余儀なくされる人の数は、この国にいったいどれほどいるのだろうか。

 こうしている間も、寒さに震える人々とそれを支える人々が、野外にいるのかと思うと心穏やかではない。

 ディケンズが書いた「クリスマスキャロル」の二つ目の訳書を詠み始めている。

 クリスマスの夜の貧しい人々の様子が生き生きと描かれている。

 貧しいが、決して弱気にはならない。神がいて、守ってくれると思ってはいるが、

 究極の現実を突きつけられれば、どうなってしまうかと不安がないことはない。

 だが、貧しい人間たちが、生き抜くことへの共感と連帯感は、私の心を安らいでくれる。

 貧しいからこそ味わえる、冬の夜の、不思議な安堵感なのだ。