コトコトと、ストーブの上のやかんが音を立てる。
遠くで、時々、鳥の声がする。
静かな一日だ。
今日もまた、引きこもって、一人部屋に居続けるのだろう。
空は、どんよりと暗い。
それに引き込まれそうになるが、何とか心は静けさを保っている。
ひどくなる虫歯の限界と、自分の寿命の終わりと
どちらが早いかと、相変わらず心が折れるような言葉を口にする連れ合いは
88歳の一人暮らしの老母のもとへ、朝から出かけている。
今日はもう、エネルギーなど一切なくなって、本気で食事をとろうともしていない。
こんな状況が、いつかもっともっとひどくなっていけば
それは生きようとする意志が萎えてしまって、私のすべては終わりになるということだ。
思えば、ずっと人を励まし続けてきた。
それは自分の家族への言葉であったり、学校現場での生徒へのメッセージであったり、
気が付いたら、そんな役回りを与えられていたのかもしれない。
けれどふっと思うのだ。ひょっとして私の最期は、
生きる意欲も、エネルギーも、完全になくした、そんな日にやってくるのかもしれない・・・