暑い一日でしたよ

 飯田橋に降り立ちました

 ホームを降りて ゆっくりと改札口へ向かいました

 ああ 昔のままです

 この傾斜した通路は あの頃と同じです

 大事な人と腕を組んで 大学へ向かったあの時の記憶が

 いきいきと蘇ってきました 

 この国の有り様を思い

 世界を思い 時代を思いながら

 いかに生きるべきかと 真剣に考えていました

 あれから40年が経って

 何が良くなって 何が悪くなってしまったのか

 この国も 世界も 

 どんどんと後退して行ったとしか思えない状況

 何にもできなかったという振り返りをしたところで

 原発事故の猛威からも

 やってくるかもしれないという大地震からも

 逃げる事はできません

 だから こんな弱い私でもできることは

 その場所に踏みとどまること

 目をそらさないことぐらいでしょうか

 娘と娘の連れ合いと歩きました

 飯田橋の通路を 少しオシャレをして 

 なんだか心は不思議なほど軽かったのです

 40年前のあの日には 命のかけらほどもなかった娘が

 次の世代として 今を生きているなんて

 私の目の前を 大事な人と歩いているなんて不思議です

 命の偶然に 深く深く感謝してしまいました

 それで 私はいったい 何を伝えてきたのかしら

 娘とは数え切れないほど 色んな話をしながら

 今日 この日まで歩いてきたなあと思ったりもしていました

 これからは想像を超える大変さが待っているでしょう

 でも 何とか生き抜いてほしい

 こんな時代に 生かしてしまったけど

 でも 何とか生き抜いてほしいと思います

 ああ 暑い一日が終わりました

 ともかく 暑さの中で 時間を止めどなく

 振り返ってしまったのです