絶望が足りない・・・

 目の前の現実から目をそらしてばかりいるから

 本当に絶望していないんだと

 だからどうしようもなく 

 ちぐはぐな理屈を展開するのだと

 まさしく絶望的に深く憤りながら

 呟いていた人がいた

 その言葉が心に刺さり 

 以来 ずっと反芻している

 例えば この国は終わるかもしれないではなく

 この国は終わっているのだ

 福一の汚染水が海へどくどくと流れ出ているのに

 手の打ちようもないというのに

 この国が壊れていないというのは幻想だ

 ただ だからそこで すぐにお手上げなんか

 できないということ

 まだかろうじてもっていた人間の「良心」として

 次の世代の人へ なんというのか

 何を残すのか そういう自責の念が起ってくるから

 やりのこしたまま この国の壊れから

 すぐには逃げ出さないだけのことだ

 それにしても 自分の無責任さにさえ

 目を覆いたくなる

 明日 神が自分に対して

 この地上から離れるようにいったら

 この放射能汚染の 狂気の国をしり目に

 空の彼方へ一人行ってしまうのだから

 何一つ 今しなくてはならないこともせず

 そういう人手は絶対的に足りないというのに

 この国は 壊れている

 その前提に立って なおできることをしよう

 次の世代の苦しみが 

 ほんの少しでも少なくなるような

 何事かをやっていこう

 塵ほどにもない自分の存在でも

 それでも やってこの地上を去らせてもらいたい