図書室のおばさん

司書の資格もないのに図書室のおばさんをやっている

定時制の小さなかわいい図書室で働いている

資格がないからかえっていろいろ憶えてしまった

本の分類とか 本の整理の仕方とか

近頃では パソコンで本の管理をすることまで覚えて

一人で ごそごそと内職仕事で一日を費やす

新しい本の登録 登録ナンバーでバーコードを打ち出す

そのバーコードで 今度は背ラベルを打ち出す

それらを各々本に張る

さらにその上にカバーを張って はがれないようにする

本は実に色々ある

こんな絶望的な時代でも 本はたくさん作られる

くだらない本ではなく 面白い本 きれいな本

ほっとする本 本当のことを書いている本

悲しみを伝えて 二度と悲しまないように祈っているような本

本には まだまだ捨てたものではない人間の良心が宿っている

これは信じられる 

図書室のおばさんは 図書室で内職をしながら

しみじみそんなことを思っている

そんな時 昔あったという「焚書」の恐怖が

ふっと頭をよぎった

そんな時代に近づきつつある日本の今についても

やっぱり 敏感でなくてはいけない

来週には新入生が入ってくる

本の友達を 彼らに紹介する仕事が

また一つ増える・・・