ルイ・ビトンのバックだなんて・・・

こんなに貧乏な私が 
ルイ・ビトンなんかもって おかしいな
大きくて ザックリしていて
でも 模様だけは やっぱりルイ・ビトン

重宝して もう 何カ月も私の相棒だけど
このバックには いわれがある
娘が さる方から頂いて
それが 私のところにやってきたのだ

貧しくて 寮に居るのに
こんなバック持っていたら
寮を出なくちゃならないもの
だから お母さんが使ってください

欧米じゃあ お母さんくらいの年齢の人が
じっくりと 使いこんでいくのが 
ルイビトンですって
娘が そういって私に届けてくれた

さる方というのは もういない
癌で亡くなってしまった 
その方は形見として
ルイビトンを 娘に託して逝ってしまった

ルイビトンは その方が まだ元気なころに買ったもの
その方のルイビトンが 今 私といっしょにいる
毎日 ルイビトンを持って
仕事に出かけてゆく私

大きくて ざっくりとしたルイビトンは
私の暮らしの中に 一緒に居て
いつとはなしに 相棒になってしまった
ルイビトンなんて 高価なバックが・・・