さあ 眠ろう

「さあ 眠ろう」と言いながら
ああ つぶやき始めてしまいました
そう 一週間ぶりに帰ってきた家
いろんなドラマがあって ついこの間 私が老年を迎えた家
築80年は経っているとかいう家
戦前はきっと 遊郭で 
赤線の廃止とともに 料亭になったとかいう
不思議な家を 安く借りて
そこでもう数年が経っていたけれど
家族と支え合ったり ののしり合ったり 
喜んだり 悲しんだりして 愛し合ったりして
でも やっぱり家族を包む空気は 私の空気
そこへ帰ってきました 一週間ぶりに
実は 娘が 大事な人と出会って
一緒に歩いてゆくと・・・
そんなことをいうから 
なんだか不思議な気持ちになって 
見送ってやりたくて それでも 淋しくもあったりして
娘と 娘の大事な人と 過ごすために 家を離れたのだけれど
今日 我が家に 帰ってきたのです
実は 娘は 外国に行くというのです
かわいい かわいい娘が 遠くへ行くというのです
だから すこし淋しいけれど
そういう心を 解きほぐしたくて
初めて 送り出す人の心を知って
私は 何だか不思議な気持ちです
でも 娘をいっぱい悲しませたりもしました
遠くの地から 私の悲しさを
ありのままに伝えてしまって
それを娘は 引き受けて 
どうしようもなかったはずなのに・・・
ごめんなさい 娘を悲しませるなんて
なんて だめな私でしょうか
ちゃんと 心から ちゃんと 謝っておきたくて
ごめんなさい 
でも今 娘のそぐそばに 大事な人がいてくれて
娘は ほっとしたかわいい表情でいてくれます
そういう姿を見て 嬉しくなって
涙ぐんで さあ 帰ってきました我が家へ
一週間ぶりに 我が家へ 
娘が 可憐に育っていって我が家へ 帰ってきました
娘と 娘の大事な大事な人が 幸せになってくれますように