(夢を語る)

こんな年になっても
夢を語ってもいいのかと
思わず 空を見上げて
神様に 聞いてみた
もちろん 答えはあった
どんどん やって 好きに語ってよし と
神様は 答えてくれた と思っている

ついこの間 年としては 老人になったけれど
これまでの 道のりが まるで 見えないのだ
なぜかって 熱く 熱く 夢を見ていた あの日から
本当に 時間は流れて行ったのかと
疑ってしまうほどに 熱い心は 
何にも 変わってはいないのだ

人の一生を 思えば 順々と事をなして
そうれ 終わるぞって 心の一区切りがついて
そこでやっと 老年を迎えるのではなかったか
それがないのだから ふりかえって 歩いてきた道を
何度も 目をこすって 見つめてみたところで
老人になった 自覚など あるはずがない


そんなところで 夢を語る
あの若い日と 本当のところはまったく変わらない夢の中身を

そういえば 君は ずいぶんと頬もこけて 
老けこんでしまったようだけれど まだ大丈夫 
ついこの間 一緒に旅をした時の君の瞳は
昔のまんま キラキラしていたし
いっぽう私は 頬のたるみが 隠せなくなって
鏡をのぞきながら 目の中にだけ 老いの実感はあるかな

そんな二人が この先 路頭に迷うのも 時間の問題だけれど
路頭に迷いながら 二人は 各々
創作し続ける人として 生きてゆくって
ずっと昔から そう決めていた 
二人が初めて出会ったあの時は まずは 直感で
それから 二人が一緒に暮らし始めてからは 確信になって

あれいらいずっと 現実から 目を背けてばかり
二人が 語り合って うなずき合うことが
そのまま二人の現実になって
右へ左へ 大きく大きく 揺れながら
よくもまあ 今日まで 歩いてくることができたけれど
なんだか あの頃の 夢は 
いよいよ 本物になっていくような気がしてしまう
だからって なに 今私にできることは
こうして夜更けに パソコンに 心を打ちこんでいくこと
それを繰り返しながら 心が固まっていき
君をなおも愛し続けて 
私の こうした独り言は
ひろがってひろがって 
一つの世界を創っていくのだから