朝から眼科へ・・・・

 仕事で一日中パソコンを見ていることもあって

 もう ずーっと前から 目が乾く病気だったので

 時々 眼科へ行く

 今日こそはと 決意して出掛けて行った

 人類は 不思議な病気を次々に作り出した

 パソコン病ともいわれる ドライアイなんて

 昔々はなかったと思う

 適度な涙が目を潤し

 人々の目は きっと美しい目だったに違いない

 さて いきつけの眼科の待合室には

 大型テレビが二台もあって

 いやでも それを見ていると

 そこに映し出される画面で こころが沈む

 タレントたちがよく笑うのだ

 おいしそうな料理が出てきて 

 それを食べながら またまた 笑うのだ

 一年前の3月11日・・・・

 世界は 放射能汚染で変わってしまったのだと

 40年間自説を曲げずに歩いてきた一人の学者が言ったのに

 東北の現地では故郷に帰れないどころか

 放射能汚染から身を守ることもできないまま

 この国の権力者に 棄民同然に扱われたままの人々が

 数え切れないほどいるというのに

 そんなことは 何にもなかったかのように 

 テレビの向こうには おいしい」と言いながら 

 にこにこ笑うタレントばかり

 ああ 歴史の一コマに生きているなら

 本当のことを知らせ 本当のことを語り

 そして 本当の「絆」を訴えてはどうか

 ただもう にこにこ笑っていて

 この国の悲劇が加速しているのに

 問い返されるような自分の姿を

 自分でしっかりと 見ているか

 悲劇を悲劇と語り

 それを未来に向けて どうするのかと
 
 真摯に語り合ってこそ 

 本当の喜びも生まれ 笑えるんじゃないか

 ・・って そんな微かな希望を

 私だって 持ってはいるけど

 今日の暮らしのために

 やっぱり無言で 働きに行く一日が始まる

 それでも 決して「にこにこ」と

 無意味に笑ったりはしないし

 この国の あの場所で 

 今も被ばくにさらされ続けている

 身動きとれない人たちのことを

 忘れたりはできない・・・