「明日のことは思い煩うな」って、
近頃、その言葉を時々思い出す。
九年前に家族になった猫のチビスケ。
そのチビスケが重い腎臓病になって一日おきに病院に行く。
「快復の兆しは体重が増えることです」と獣医さんに言われた。
そんな中で、前回は少し体重が増えましたねと言われて嬉しかった。
けれども今日は、チビスケが体重計に乗るとわずかに減っている。
一喜一憂してもしょうがない。
食べる量はずいぶん少ないが、チビスケの日常はのんびりしたものだ。
家の中の日当たりのいいところに座って、そのまま眠ってしまうとか、
時折り、私の足元に頭を擦り付けにくるとか、
一緒にお風呂に入ると、自分だけ着替えをする場所に座って、
湯気に包まれて眠ってしまうとか、
いつもと同じチビスケらしい生活をしている。
チビスケには他にも病気がある。
貧血症と、まだ発症はしていないが
エイズの感染も検査で判明している。
その上、高齢でもあるし、完全な快復など到底望めない。
「病状の変化は一週間単位で考えてください。」とは、お医者さんの言葉だ。
チビスケと一緒の暮らしが、もう九年も続いていたなんて感慨深い。
一緒に刻んできたわが家の歴史の中にチビスケはいる。
近頃は以前にもまして、チビスケに話かけてばかりいる私。
「チビスケ、一日でも永く生きていてね。」
それを聞いてか、チビスケの目は優しく私を見つめている。