歩き出した。生きている限り歩き続けている私。
高校で非常勤をやり始めて、今日で三日目。
若い頃のように、心底、何かを訴えることができるとは思えないけれど、
目の前の高校生の、人としてのひた向きさに、勝手に感動してしまい、
声に抑揚をつけ、発して言葉が、相手の心に確実に届くようにと
力を込めて話し続ける。
この国も、世界も、どうしようもなく劣化していく。
だから、若者に語る言葉を一つ一つ丁寧に選んで、
ゆっくり授業をする。
人が理不尽に殺され続けていても、どうすることもできない。
ただ、「殺すな」と心の中で呟き続け、
その言葉の上に、また今日の授業を展開する。
昼ご飯を食べて、午後からの授業だ。
パレスチナでは、意図的に食糧支援が妨害され、
多くの人々が飢餓にさらされているというのに、
私は、温かいうどんを食べていく。